修理事例のご紹介

セイコー 3番車オーバーホールガラスリューズパッキン

キングセイコーのオーバーホールを実施しました(埼玉県富士見市のお客様)

king-seiko_5621-7000

埼玉県富士見市のお客様より、時計修理の匠工房に、キングセイコー(5621-7000)の修理依頼がございました。

だいぶ前に近所の時計店で修理を実施。父親の形見で、現在は動かない状態。バンドを2コマ緩めて欲しい。とのことでお申し込みを頂きました。


※到着時のお写真を使用しております。

キングセイコーについて

1881年に、セイコーのルーツである”服部時計店”が創業し、1892年には時計製造工場として”精工舎”を設立し、当初は掛時計の製造を行っていました。

そして、1924年に”精巧な時計を作る”という創業時の原点に立ち返るという想いを込めて、初めて『セイコー』腕時計ブランドが冠されました。


グランドセイコーが発売された1960年頃より、 グランドセイコーに次ぐ高級腕時計として人気を博したキングセイコーですが、 1975年にはクオーツ時計の台頭により生産中止となりました。

しかし、オールド機種ながら状態のよいキングセイコーは精度も出やすく、今なおマニアに人気の機種でもあります。

時計の状態

今回はオーバーホールに加えて、リューズパッキン、3番車、ガラスの交換を純正部品で実施しました。

3番車は輪列を担う歯車ですので、機械式時計の場合、交換になる可能性が高い歯車です。
ガラスはキズ多、欠けの為、交換をご提案させて頂きました。

文字板や針のシミ等は現状のままとなりましたが、ブレスの洗浄とガラスを交換しただけでも、見違えるほどにキレイなキングセイコーとなりました。

今回のキングセイコーは、裏蓋やケースに腐食が見られた為、非防水でのご案内でしたが、キングセイコーやグランドセイコーをお持ちのお客様は、非防水の場合でも、水回りを避けて大事にご使用されているお客様が多い印象です。(手を洗う際には外す、雨の日は着用しないなど)

今回のお客様もそうでしたが、良い機種にもかかわらず生産年数が14年ほどと短かったキングセイコーは、祖父から・・・父から・・・など、譲られてご使用されておられるお客様が非常多いです。

中には、あえてキングセイコーを集めて、修理をされながらコレクションされておられるお客様もいらっしゃいます。(そのお客様は特に、キングセイコーの裏蓋に”KS”と書かれたメダルの状態が良いものを好まれておりました。)

裏蓋のメダルも使用環境により、年々傷んでいきますので、状態の良いメダルは少なくなってきております。(裏蓋は手にあたりますので、汗で酸化や腐食が進む場合があります)

希少なキングセイコーですので、大事にご使用されることをお勧めさせて頂きます。

修理完了後、納品前のお写真です

この度は当店をご利用頂きまして、誠にありがとうございました。
また何かございましたら、どうぞお気軽にご相談くださいませ。


●今回の修理内容

オーバーホール、リューズパッキン、3番車、ガラス

修理料金:3万円台前半(税抜)※修理当時(2020年)の価格