タグホイヤー
タグ・ホイヤーの時計が動かないときの原因と対処法を実際の修理事例とあわせて解説!

タグ・ホイヤーが動かないときの原因:時計外部が要因
タグ・ホイヤーが動かないときは、大きく目に見える外側の部分と内部のムーブメント部分のどちらかに大別できます。まずは時計外部の要因を見ていきましょう。
ベゼルが動かない
タグ・ホイヤーの防水時計には、回転ベゼルが搭載されています。こういった時計はベゼルと時計ケースの間に埃や汗、汚れなどが詰まってしまうと、動かなくなってしまいます。通常はブラッシングや日常の手入れで動くことが多いですが、まれに時計内部にゴミなどが入り込んでいると動かなくなってしまうことがあります。こういった場合は専門業者に依頼しましょう。
ケース・ブレスレットの破損
ケースやブレスレットが破損している場合、内部のムーブメントにも影響が及んでいる可能性が高いです。タグ・ホイヤーの時計の外部のケース・ブレスレットが破損するほどの衝撃が時計に加わっているということは、内部のムーブメントにも強い衝撃が加わっていることが考えられます。ケース・ブレスレットが破損し動かなくなっている場合は、早急に修理を依頼したほうが良いでしょう。
文字板・針の破損
タグ・ホイヤーが動かなくなった際に同時に針が動かないという場合は、針を動かす内部の部品に何らかの異常が発生していることが考えられます。また、文字板が汚れている場合や水が乾いたような跡がある場合は、内部に埃やゴミ、または水が入り込んでいることが考えられます。

※ガラス内に水滴や、文字板にシミなどが見られます
タグ・ホイヤーが動かないときの原因:時計内部が要因
タグ・ホイヤーが動かない場合の、時計内部の要因を解説します。
リューズの異常
時計が動かない際にリューズも動かない場合、リューズの隙間に汚れやゴミが詰まっている、リューズが錆びているなどの原因が考えられます。この場合、無理に動かそうとすると折れてしまったりリューズのネジ山が潰れてしまう可能性もございます。そのため、無理な力は加えずにそのまま専門店に修理依頼をするようにしましょう。また、万が一リューズが折れてしまった場合はリューズを一緒に持ち込むと良いでしょう。状態によってはそのリューズを使って修理できる可能性もあります。
ゼンマイが原因
ゼンマイは機械式時計の動力源のため、使っているうちに金属疲労により切れてしまうことがあります。リューズを巻き上げても空回りするような感触がある場合、ゼンマイが切れている可能性が高いです。また、ゼンマイは時計の精度を左右する部品のため、遅れや進み、精度が出ないなどの場合は、ゼンマイの異常も考えられます。
時計内部へ水が侵入している
時計の内部に水が侵入した場合、早急な修理が必要です。なぜなら水が入ると部品が錆びてしまい、錆びた部品がさらに他の部品にまで悪影響を及ぼすからです。
リューズがしっかりと閉まっていなかったり、温泉につけてしまったり、プールで泳いだり、水道で直接時計を洗ったりするといった誤った使い方をすると、防水時計であっても浸水してしまいます。水の侵入の心当たりがある場合は、早急に修理依頼をしましょう。
潤滑油の劣化
時計のムーブメントには部品同士の摩擦を軽減するため、潤滑油が塗布されています。しかしこの油は時間が経つと劣化したり乾いたりしていまいます。そのため定期的なオーバーホールで油を新たに塗る必要があります。しばらくオーバーホールをしていない場合、潤滑油が劣化または乾いていることが考えられます。
磁気帯びが原因
時計の磁気帯びも原因として考えられます。磁気帯びとは時計内部に磁気が発生している状態のことです。時計のムーブメントは金属でできていますが、金属は強い磁気にさらされると磁気が移ってしまう性質があります。
スマートフォンやパソコン、カバンのマグネット式の留め具、電子レンジなどは強い磁気を発しています。これらの製品に時計を近づけてしまうと、磁気が内部のムーブメントに移り磁気帯びしてしまいます。
通常、磁気帯びした時計は精度が狂うことが多いですが、まれに止まってしまうこともあります。磁気帯びを解消するには専門の器具で磁気抜きをする必要があります。
電子回路の不具合・故障
タグホイヤーのクォーツ時計の故障で8割以上を占める原因が、電子回路の不具合・故障です。電子回路に不具合や故障があると時計の精度不良(遅れや進み)、止まりの原因になります。
クォーツ時計は水晶に電圧を加えると起きる振動を電気信号に変換し、その信号を回転運動に変えて機械部(歯車)を駆動させて針を動かしています。ムーブメントは水晶やIC、コイルなどの回路とよばれる電子部品と歯車などの機械部品の組み合わせで出来ています。水晶(クォーツ)は、内蔵された電池から電圧を加えると振動し、この振動が心臓(頭脳)部分にあたる回路で制御されます。
制御された振動は電気信号に変換され電流をコイルに流す基準となります。コイルに電流が流れると磁化し、磁性のあるローターが回転することにより歯車に動力を伝え最終的には針を動かすことになります。
基本的にはゼンマイで動く機械式時計は秒針がスムーズに運針しますが、クォーツ時計の秒針はカチッ、 カチッ と1秒ごとに運針することが特徴に挙げられます。
クォーツ時計は回路ユニットが秒針を制御しており、電池から発生した電圧で起きた高振動の振動数を回路が制御することによってクォーツ時計は圧倒的な精度を出すことができます。そして基本的には定期的な電池交換で動作するというお手軽感があります。
その一方、クォーツ時計の心臓部分と言える”回路”が不良になると回路の交換をする以外に修理方法がありません。家電製品のように経年劣化や突然故障することもあり、約10~20年が回路の寿命と言われています。
電池交換では動かない、不具合が改善されない場合は電子回路の不具合が考えられます。
当店のタグ・ホイヤー修理事例
匠工房で、これまで承ったタグホイヤーのオーバーホール事例を紹介します。
タグホイヤー カレラ
▼タグホイヤー カレラ /洗濯機で回してしまい、曇り・パーツ破損
湿気/水入り+文字板のズレ+針取れなどの複数の不具合が見られるケースでは、「ポケットに入れたまま洗濯機で回してしまいました…」とご相談を頂くことが多いです。
今回は取れたリューズが同封されており、リューズ修理が可能な状態でした。
リューズの折れ込み具合によっては、リューズの交換、または修理不可/お見積り不可でご返送させて頂く場合もございます。
リューズが外れたままですと、その部分からゴミや湿気が侵入しやすくなり、時計にとって良い状態ではありません。
湿気/水入りでガラスに曇りが発生し、そのまま放置してしまうと、内部の部品だけでなく文字板や針にもダメージを与えることになります。

タグホイヤー リンク
ヒゲゼンマイ絡みの為、オーバーホール時にヒゲゼンマイ絡み直しも実施致しました。
急に時間が進むようになった…などの場合、磁気帯びやヒゲゼンマイ絡みのケースが多いです。
ヒゲゼンマイは、機械式時計の時間基準となるテンプの振れを一定に保つために取付られたバネであり、衝撃などが原因で絡んでしまうことがあります。(強い衝撃の場合は、テンプが振り切って止まってしまうケースもございます。)
そして、リューズのロックがかなり浅い(いつロックできなくなってもおかしくない)状態でしたので、オプションとしてリューズ・チューブの交換をご提案しましたところ、リューズ・チューブも交換有りで修理のご依頼を頂きました。

タグホイヤーの修理は匠工房にお任せください
タグホイヤーが動かない原因と対処法、当店での修理事例を紹介しました。
不具合を放置していると故障が広がり、交換部品が多く発生し費用が高額になってしまうため、早めの修理をおすすめします。
(※グランドカレラの場合は、直接メーカーさまへのご相談をお勧めさせて頂いております。)
