メンテナンスコラム

ロレックス

ロレックスの時計が進むのって故障?原因と対処法を解説

ロレックスは、誰しもが憧れる時計ブランドです。

その人気の秘密はブランドとしての魅力はもちろん、妥協を許さない時計作りにあります。特に精度の高いムーブメントは、時計業界のなかでも定評があり通常日差+-20秒程度であるなか、ロレックスは新品購入時、日差+-2秒以内という精度を誇っています。

しかし、高精度のロレックスでも「時間が進んでしまう」というご相談もよくいただきます。また、ロレックスのほとんどのモデルは機械式時計のため、精度にブレがありますが「どの程度の進みであれば故障ではないのか?」というお問い合わせもいただきます。

そこで今回は、ロレックスの進みの原因や対処法、精度の許容範囲や費用について解説したいと思います。

ロレックスが進むときに考えられること

ロレックスが進むという際に考えられることは、次の2つです。

機械式時計の日差の範囲内の進み

「気づくとロレックスが進んでしまっている。故障なので直してほしい」というお問い合わせをいただくことがあります。実際に故障していることも多いですが、話しを聞くと、なかには特に問題がない場合もあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

実は、ロレックスの精度は必ずしも正確とは限りません。ロレックスの多くは機械式時計といって、100以上の小さな部品、歯車が組み合わさって動く仕組みの時計です。そのため時計の向きや動かし方、気温や湿度などによって少しずつ精度が変わります。このように、時計が一日にどのくらい進みや遅れがあるかを表す精度を、日差と言います。

そのため「ロレックスが進んでいる」と感じても、実際には機械式時計の日差の許容範囲であることもあります。

ロレックスに何らかの異常が発生している

わずかな誤差であれば機械式時計の日差の範囲であると考えられますが、大幅な進みや時刻のズレの場合、内部に何らかの異常が発生していると考えられます。

部品の異常や故障はもちろん、磁気の影響を受けて時計の精度が狂ってしまうこともあります。具体的にどこに異常があるのかは、専門の時計修理店に内部を見てもらうことでしか判断ができません。

時計の精度に異常が見られる場合は、なるべく早く時計修理店に依頼するようにしましょう。放置していると、他の部品に影響してより故障がさらに大きくなってしまうこともあります。

匠工房では、ロレックスに異常がある場合の点検やオーバーホールを承っています。無料見積り宅配パックからお申込みいただくと、送料・見積もり・キャンセル手数料無料で対応しています。

「ロレックスの精度に不安がある」「時計修理は費用が高くて気軽に出せない」と悩んでいる方は、お気軽にお申し込みください。

  • 機械式時計の精度の測り方

ロレックスが進む場合、気になるのは時計の進みが、機械式時計の許容範囲なのか?という点だと思います。ここでは機械式時計の精度の測り方と、日差の許容範囲がどこまでなのかを解説します。

時計の精度は気温や湿度など微妙な変化によって変わるため、日差を測るためには1日だけでなく1週間~10日間の平均値を確認する必要があります。一般的に気温が高ければ時計は遅れ、気温が低いと進む傾向があります。

日差を測るには専用の機械もありますが、自分で毎日記録をつけて日差を出す方法もあります。ゼンマイを巻き上げて標準時刻に合わせてから、24時間後に時間を確認し、標準時間とどのくらいの誤差が出たのかを記録しましょう。これを1週間~10日ほど行い平均値を計算することで、その時計の日差を出すことができます。

  • 機械式時計の精度の許容範囲は?

結論から述べると、

  • 現行モデルの時計であれば日差-10~+20秒
  • アンティーク・ヴィンテージモデルであれば-30~+60秒

が許容範囲と言えます。この範囲であれば、故障ではなく機械式時計の日差の想定内と考えられます。

ロレックスの公式に発表されている日差は-2~+2秒ですが、それは時計を止めた状態での静止精度と呼ばれるものです。そのため実際に時計を着用すれば、角度や動きによって精度はこれよりもずれることが考えられます。

また時刻調整をせずに毎日使い続けていると、一日数秒の日差でも数ヶ月経てば数分になることもあります。そのため「ロレックスが数分進んでいる」と思ったら、一度自分で精度を測ってみることをおすすめします。

ロレックスが進む原因

ロレックスが進む大きな原因の一つに内部の故障があります。そのなかでも特に考えられるいくつかの原因を紹介します。

磁気帯び

ロレックスが進む原因として、最も多いのが磁気帯びです。磁気帯びとは時計に磁気が発生している状態です。機械式時計は内部のムーブメントが金属でできているため磁気を発生するものに近づけてしまうと磁気が移ってしまいます。

磁気を発生するものは、身近にたくさんあります。パソコンやスマートフォン、電子レンジやカバンの磁石式の留め具などが該当します。とくにパソコンやスマートフォンなどは無意識のうちに時計を近づけすぎてしまうことが多い電化製品です。

  • ノートパソコンの上に時計を置く
  • スマホと時計を一緒にポケットにしまう
  • カバンの留め具に近い内ポケットに時計を入れる

上記のような、ちょっとしたことでも時計は磁気帯びしてしまいます。磁気帯びしてしまうと、専門の機械で磁気を抜く必要があるため「磁気帯びかな?」と感じたらお気軽にご相談ください。

ヒゲゼンマイの異常

ロレックスの進みとして考えられる二つ目の原因は、ヒゲゼンマイの異常が考えられます。ヒゲゼンマイは機械式時計の心臓部分といえる場所で、精度をつかさどるもっとも重要な部品の一つです。金属製の帯で渦巻状の形をしていて、その精度はとても繊細なものです。

ゼンマイは板状で巻き上げられることに対して、ヒゲゼンマイは巻き上げられることはなく、テンプの振れを一定に保つために存在しています。

髪の毛のように細く、0.001ミリ狂うだけで1日辺り30分も変わってしまうこともあります。

これだけ繊細な部品だと、落下や激しくぶつけるといった強い衝撃を受けるとヒゲゼンマイに異常が発生することがあります。ヒゲゼンマイの中心が歪んだりヒゲゼンマイが絡まったりすると、進みや遅れ、止まりの原因になってしまいます。

また、油や水分がヒゲゼンマイについてしまい、ヒゲゼンマイ同士がくっつく場合や、磁気によりヒゲゼンマイ同士がくっついて、進みの原因になる場合があります。ヒゲゼンマイに異常がある場合は、内部の機械を分解して点検する必要があります。

内部部品の故障

ロレックスが進む3つ目の原因として考えられるのが、内部部品の故障です。上記に挙げたゼンマイの異常はもちろん、他の部品が破損しても精度は狂ってしまいます。

強い衝撃で破損するのはもちろん、部品の金属疲労や摩耗により破損してしまう場合もあります。時計は精密機械のため、車の車検と同じように定期的な点検であるオーバーホールが必要です。

ロレックスのオーバーホールの推奨期間は3~5年に一度と言われています。しかし長年メンテナンスをせずに使い続けていると、故障してしまうことがあります。時計は小さな部品が組み合わさって動いているため、最初は一つの小さな部品の故障であっても、他の部品に連動して壊れてしまうこともあります。そうなると多数の部品自体を交換しなければいけないため、部品代がかさみ結果的に修理費が大幅にかかってしまいます。そのため、たとえ壊れていなくても、定期的なオーバーホールをお勧めいたします。

ロレックスの進みに関する当店の修理事例

ロレックスの進みや遅れに関する、実際に当店でお預かりした修理事例を紹介します。

  • ロレックスGMTマスター16700

https://www.studio-takumi.com/case/rolex-gmt-master-01-repair.html

ロレックスのGMTマスターの修理事例です。20年以上前に購入し、不動になっていたとのことで、依頼をいただきました。10年ほど前には進みが発生していました。

内部の機械を点検したところ、油劣化、ヒゲゼンマイに油汚れが付着、一部部品が破損していたため、洗浄と部品交換を実施しました。機械式時計は、部品の摩耗するところに油が塗布されていますが、時間が経つと劣化してしまいます。今回も、経年劣化により油が切れてしまい、その影響で部品が摩耗してしまっておりました。

定期的なオーバーホールを実施しないと、部品交換が複数必要になってしまうことが多いです。使っていない時計でも、10年単位で時間が経過している場合はオーバーホールをおすすめします。

また、時計修理店のなかにはロレックスの純正部品ではなく安価なジェネリックパーツを使っている店舗もあります。一概には言えませんが、中にはそういった部品は動かすことはできますが品質が悪く、後で時計に悪影響を及ぼすこともあるため、ロレックスの純正部品を取り扱っている時計修理店をおすすめします。

当店ではロレックスの交換部品は、基本的に純正部品をご提案しておりますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。(社外品でのご提案となる場合は、お見積り時にきちんとお知らせしております。)


  • ロレックスエクスプローラーⅠ114270

https://www.studio-takumi.com/case/rolex-explorer-14270-01-repair

ロレックスのエクスプローラーⅠの修理事例です。時刻が進むためオーバーホールのご依頼いただきました。

部品の分解・洗浄を行い、ヒゲゼンマイの絡みが見られましたので、ヒゲゼンマイの絡み直し、裏蓋のパッキンとゼンマイ、3番車、チューブパッキンを交換しました。ヒゲゼンマイはほんの僅かの差で精度に影響が出てくる部品です。今回は進みでのご依頼だったためヒゲゼンマイの絡みの影響によるものだと考えられます。

またケース・ブレスの磨きもあわせてご依頼いただき、購入時のような輝きを取り戻しました。時計の仕上げ加工は技術力が高くないとケースの形が崩れてしまうため、仕上げ加工の実績が豊富にある時計修理店へ依頼することをおすすめします。

当店では、オーバーホールと合わせて、オプションで外装仕上げ加工も承っています。小さな傷が気になる方は、オーバーホールと一緒にお申し込みください。


  • ロレックスサブマリーナ16610

https://www.studio-takumi.com/case/rolex-submariner-06-repair.html

ロレックスのサブマリーナの定期メンテナンスのご依頼をいただきました。普段の使用時での大きな問題はとくにないとのことでしたが、内部を点検すると、いくつか部品の交換の必要がありました。

普段使っているときは大きな問題はなくても、内部の機械では小さな異常や発声していることも多々あります。定期的なオーバーホールで、異常が小さなうちに取り除くことで大きな故障につながらず、使い続けることができます。

現在お使いの時計に異常がない場合でも、定期的なオーバーホールをして大切に使い続けてください。

故障かも?と思ったらお気軽にご相談ください

ロレックスの進みの原因や対処法、修理依頼に出す目安の精度を解説しました。ロレックスは機械式時計のため、使用状況によって正しい時刻とのズレが発生します。そのためロレックスが進むからと言って、必ずしも壊れているとは限りません。

しかし、ぶつけたり落としたりといった衝撃で内部の機械や歯車に不具合が生じてしまいます。そのまま放置すると、部品の故障がさらに広がり費用も高くなってしまう可能性があるため、できるだけ早く時計修理を依頼するようにしましょう。

匠工房では、ロレックスのオーバーホールの実績が豊富にあります。気になることや相談したいことがある方は、お気軽にお問い合わせください。
無料見積り宅配パックをお申し込みいただきますと、送料・見積もり・キャンセル手数料無料で対応しています。
修理が難しい状態・機種の場合は、予めメールでご返信できるように努めております。
おかげさまでリピーター様多数、多くのお客様にご支持いただいております。どうぞ安心してお申込みいただければ幸いです。