メンテナンスコラム

セイコー

セイコーの時計が遅れる原因は?対処法と修理事例などを解説

セイコーは日本が誇る有数の時計ブランドです。

世界で初めてクォーツ時計を生み出したことはもちろん、スイス天文台クロノメーターコンクールでの上位入賞など、時計作りの本場スイスに負けない時計作りを行っています。

しかし、そんなセイコーでも使っているうちに時計が遅れてしまうということもあります。セイコーが遅れる理由はいくつかありますが、機械式時計とクォーツ式時計では理由が異なります。今回はセイコーが遅れる原因と、その対処法、そして当店でお預かりしたセイコーの修理事例を紹介します。

セイコーが遅れる原因6つ

セイコーが遅れるのには、大きく6つの原因が考えられます。ここでは機械式時計とクォーツ式時計の2つに大別して紹介します。

機械式時計

機械式時計は、ゼンマイを動力とする時計のことです。大きく手巻き式時計と自動巻き式時計の2種類があります。

機械式時計の日差の範囲内

セイコーが遅れる理由の1つ目は、機械式時計の日差の範囲内です。日差とは、時計の1日の進みや遅れ具合の度合いを表します。機械式時計は、小さな部品が100以上も組み合わさってできている精密機械です。部品の物理的な力で動いているため、クォーツ式時計と比べて誤差が大きくなる特徴があります。その緻密さは、気温や湿度、腕時計の向きなどによっても精度は変わってくるほどです。

そのため、「新品で買ったばかりの時計が遅れる」という場合は機械式時計の許容範囲かもしれません。機械式時計の日差は±10~20秒くらいまで、アンティーク時計は±60~180秒までと言われています。

1日で5分~10分も遅れてしまうという場合は、部品の破損や油切れと言った内部に不具合が発生していることが考えられます。早急に修理を依頼しましょう。

機械式時計の巻き上げ不足

機械式時計の遅れが発生している中には、ゼンマイがしっかりと巻き上がっておらず、遅れている場合もあります。自動巻時計の場合、「時計をつけていれば自動的に巻き上がるので手動で巻き上げない」という方も多いかと思います。しかし、着用しているだけでは巻き上げが足りていない可能性があるのです。とくにデスクワークが中心であまり動かなかったり、着用時間が短かったりすると巻き上げが足りていないことが多くあります。

また、「ワインディングマシーンにつけているのに巻き上がらない」という相談をいただくことがあります。この場合、巻き上げの方向が間違っていることが考えられます。セイコーのモデルは両方に巻き上げられる時計が多いですが、古いモデルや一部の時計では片方のみの回転で巻き上げるタイプの時計が存在します。そのため一方向にしか回らないワインディングマシーンの場合、向きが反対でいくら回転させても巻き上がらないということが発生してしまいます。

巻き上げが足りない原因の場合、手動でゼンマイを巻き上げる方法がもっとも確実にゼンマイを巻き上げることができます。リューズを持ってゼンマイが巻き上がる方向へ30~50回前後巻き上げるようにしましょう。

磁気帯びによる遅れ

時計の遅れの原因のなかで、特に多いのが磁気帯びによる遅れです。磁気帯びとは、磁石の性質が金属に移ってしまい、磁石を離しても金属が磁力を持ってしまう現象です。機械式時計の場合、内部のムーブメントはほとんどが金属でできているため、磁気帯びしやすいです。しかもスマートフォンやパソコン、充電器、電子レンジ、カバンのマグネット式の留め具など、身近なところに磁気を発する製品がたくさんあります。

例えば次のような何気ない行為でも時計は磁気帯びしてしまいます。

  • 腕時計を外した際にスマホと一緒にポケットに入れる
  • 時計をノートパソコンの横に置く
  • カバンのマグネット式留め具のすぐ近くにある内ポケットに時計を入れる

近年ではこうした磁気帯びを防ぐため、セイコーから磁気帯びしづらい強化耐磁モデルも発売されています。何度も磁気帯びしてしまった経験があるという方は、こういったモデルを選ぶのも良いでしょう。

磁気帯びした時計は、専用の器具で磁気を抜く必要があるため、正規店や時計修理店に依頼しましょう。

ヒゲゼンマイの変形

ヒゲゼンマイとは、機械式時計の精度を司っている部品のことです。このヒゲゼンマイは数ある部品の中でもとくに繊細な部品であり、ちょっとした衝撃で変形したり、形がずれてしまったりします。そうなると時計は正しい精度が保てなくなり、遅れが発生することがあります。

時計を落としたりぶつけたりした記憶がある方は、ヒゲゼンマイが破損しているかもしれません。この場合ヒゲゼンマイの調整や部品交換を行う必要があります。

クォーツ(電池)式時計

クォーツ式時計は、セイコーが初めて開発したものです。当時、高精度のクロノメーター規格の時計で日差±8秒ほどと言われていた時計の精度が、月差±3秒以内という規格外の高精度を成し遂げ、時計業界を震撼させました。

機械式時計に比べて圧倒的な高精度と巻き上げの必要がない利便性の高さがメリットですが、クォーツ時計ならではの故障もあります。

電池残量の低下

クォーツ時計では、まれに電池残量が僅かになっているときに時計が遅れることがあります。基本的にクォーツ時計は電池残量に関わらず、一定の精度を保っていますが、まれに電池残量が足りないと遅れが発生することがあります。この場合、電池を交換すれば時計の精度は戻ります。

回路不良

クォーツ式時計の遅れや不動などのトラブルで最も多いのが回路不良です。液漏れや経年劣化などによって回路が動かなくなってしまいます。電子回路が壊れてしまった場合、多くは回路自体の交換が必要です。また、クォーツ時計の回路は一般的に10年が寿命と言われており、定期的に交換する必要があります。

油切れ・劣化

油切れ・劣化はクォーツ式時計にかかわらず、機械式時計にも共通する原因です。部品同士の摩擦を防ぐために注油されていますが、経年劣化により油が切れたり、劣化や汚れたりしてしまいます。油切れの状態になると、部品の動きに悪影響を及ぼし、時計の遅れや動作不良が発生します。

オーバーホールをしばらくしていないという方は、油切れの可能性があります。オーバーホールの推奨期間は、機械式時計で3~5年に1度、クォーツ式時計で4年~6年に1度と言われています。

セイコーが遅れる場合のおすすめの修理依頼先

セイコーが遅れる理由で、修理が必要な場合のおすすめの修理依頼先を2つ紹介します。

正規メーカー店

1つ目はセイコーに直接依頼する方法です。セイコーの時計販売店やオンラインで依頼できます。正規店は、安心して依頼できる点が大きな魅力ですが、その分費用が高額になります。また、修理期間も6週間前後かかります。修理費を抑えたい、急ぎで修理したいという方は、次の民間の時計修理店がおすすめです。反対に安心感を求める方は、正規店への依頼がおすすめです。

民間の時計修理店

2つ目は、民間の時計修理店に依頼する方法です。正規メーカー店と比べて費用が安く、オーバーホールや修理にかかる期間も短いというメリットがあります。

しかし時計修理店は、企業によって規模や形態がそれぞれ異なり、店舗によって技術力や接客の質に差があります。そのため、優良な時計修理店を見極める必要があります。優良な時計修理店には次のような特徴があります。

  • 資格を持った技術者が在籍している
  • 過去の修理実績が豊富にある
  • 純正部品を使っている

時計修理には、時計修理技能士という国家資格があります。この資格の取得には、高度な時計修理の知識と経験が求められるため、この資格を持った技術者がいるということは、それなりに高度な時計修理の技術があるという証明になります。

また、過去の修理実績が豊富であるということは、それだけさまざまな故障や破損に対応してきたということになります。純正部品は、独自のルート、部品を卸すメーカーと長年の付き合いがあると考えられるため、それだけ信頼関係や実績を積み重ねていると言えます。

民間の時計修理店に依頼する場合は、上記のポイントを満たしている時計修理店に依頼するようにしましょう。

当店のセイコーの修理事例

匠工房でこれまでに実際にお預かりした、セイコーの修理事例を紹介します。

セイコーアベニュー

▼セイコー アベニュー/時計が遅れる、止まる

セイコーのアベニューの遅れ、止まりによる依頼です。クォーツ式時計で、以前は百貨店の時計修理コーナーで電池交換を依頼したとのことでした。アベニューは1980年代に発売された時計です。

内部の点検をしたところ、部品の油に劣化が見られました。油が劣化すると部品の動きに悪影響を及ぼし、時計の精度が悪くなってしまいます。そのためクォーツ式時計でも電池交換だけでなく、定期的なオーバーホールが必要です。クォーツ式時計のオーバーホール推奨期間は、4~6年に1回です。

seiko

グランドセイコー

▼グランドセイコー/オーバーホール、ベゼルのインク入れ

グランドセイコーの遅れによる依頼です。機械式時計ですが、以前のオーバーホールから10年ほど経過しているとのことでした。

内部を点検したところ、こちらも油劣化のため、オーバーホールを実施しました。またベゼルのインクが落ちてしまっていたため、新たにインク入れを行いました。内部はもちろん、ベゼルのインクが入ったことで見た目が締まり、印象がガラリと変わりました。


セイコー キネティック

▼セイコー キネティック/オーバーホールと部品交換

セイコーキネティックのガラス内部の曇りで依頼をいただきました。キネティックは、時計を動かす動作で発電を行い、クォーツ時計を駆動させるセイコー独自の機構です。

内部を点検したところ、二次電池であるキャパシタの不良が見られましたので交換を行いました。キネティックは通常のクォーツ式時計と違い、時計の動きを電気に変換する仕組みのため、電池交換の必要がありません。しかしその電池を蓄える部品が壊れてしまうと、せっかくの動きで発生した電気を溜めることができなくなってしまいます。


セイコーの遅れ修理は匠工房にお任せください

セイコーの遅れの原因と対処法、当店での修理事例を紹介しました。セイコーは機械式時計とクォーツ式時計などの取り扱いがありますが、それぞれ遅れの原因は異なります。一部を除いて、多くは時計の修理が必要になります。遅れを放置していると故障が広がり、交換部品代が多く発生し費用が高額になってしまうため、早めの修理をおすすめします。

匠工房の「無料見積り宅配パック」では、自宅から時計を梱包して送るだけで、腕時計の修理を依頼できます。送料・見積もり料・キャンセル料すべて無料で対応していますので、お気軽にお申し込みください。(※模造品を除く)

匠工房では、交換する部品は基本的に純正部品で対応しています。万が一、純正部品で対応できない場合は、お見積り時にご案内させていただきます。見積もり→修理進行後の追加費用は一切なし、メーカーよりお安くオーバーホール、修理がご提案できるよう心掛けております。

1級時計修理技能士の中でも30年以上セイコーの修理を手掛けてきたプロフェッショナルが対応しますので、どうぞ安心してご依頼くださいませ。